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 埋もれた花束(私家版アルバム)

1970年代から1980年代にかけて、それまでの歌謡曲でもなくフォークソングでもない
新しい音楽が生まれました。それは、あのJ-POPへと連なっていきます。
音源はほとんどの曲がレコードだけであることから、いまやすっかり世間から忘れ去られて
しまいました。
そんな埋もれた花束をふたたび明るい太陽のもとで輝かせようとの想いから、音楽評論家の
佐藤康則氏が企画・制作した4枚組みのCDアルバムをご紹介します。
こもれび倶楽部がレコードからデジタル化し、CD・ジャケット・リーフレットを制作しました。




まえがき


今では当たり前に使われているJ-Popという言葉が音楽界に確固たる地位を獲得するまでには、
20年以上に渡る数多くのミュージシャン達の絶え間ない努力がありました。
70年代から80年代にかけ、そうして積み上重ねられた努力は見事な大輪の花を咲かせ、私たちの人生を
色とりどりの華やかな花束で飾ってくれました。
しかし、それらの花束の多くは過ぎ行く時間の中でいつしか忘れられ、振り返る人の数も年ともに減って
いきつつあります。
この4枚のアルバムには、そんな埋もれた花束の中で今なお鮮やかな色彩と馥郁たる香りを保っている、
忘れ去るにはあまりに惜しい、色とりどりの花束が拾い集められています。

                                    2014.12  佐藤康則


Vol.1.J-POPの夜明け

Vol.1には、70年代中期から80年代初めにかけての、フォークからPopsへと移行していく転換期の
曲が集められている。

この時期の大きな特徴は、シンガーソングライターと呼ばれる歌手たちが数多く活躍し始めたことである。
彼女達の歌には、心情を自分の言葉でストレートに吐露した私小説的な要素が強く、洋楽からの借り物
ではない、日本の音楽風土を新鮮な感性によってリファインした美しいメロディーが多い。

まだフォークの影響は強く残っているものの、歌のみではなく、伴奏を含めたトータルなサウンドを
追及するという方向性がはっきりと意識され、楽曲全体のクォリティーが格段に上がった時期でもある。
それまでの定型化した「歌謡曲の歌詞」とは一線を画し、自分自身と向き合い、心の傷や内に秘めた
思いを言葉に換え、それを率直に聴き手に伝えようとする強い意思が作り出した「詞」のリアリティーにも
心を打たれる。

自分たちが、今まさに新しい時代を作り出しつつあるという緊張感がひしひしと伝わってくる強い
インパクトを持つ曲ばかりである。


 1.柴田まゆみ/白いページの中に
 2.水沢有美/日曜が水曜の次の日なら…
 3.高木麻早/ひとりぼっちの部屋
 4.高田真樹子/糸
 5.小坂恭子/想い出まくら
 6.茶木みやこ(ピンク・ピクルス)/一人の道
 7.茶木みやこ/泪橋
 8.小林啓子/比叡おろし
 9.高岡美智子/まわり燈籠
10.古谷野とも子/ひとりの季節
11.小野香代子/さよならの言葉(ライブ) 
12.菊地弘子/青いくれよん 
13.広谷順子/古都めぐり
14.下成佐登子/秋の一日
15.明日香/花ぬすびと 
16.野本直美/恋唄 




Vol.2.もう一つの道


Vol.2には、フォークからJ-Popへと移り行く過程で主流から外れ、もう一つの道をたどった
歌手たちの作品を集めてある。

ここに収められた歌には、1960年代の後半、日本中の大学を旋風のように駆け抜けた全共闘運動と深く
結びついた日本のフォーク運動の、挫折と内的世界への回帰という特異な状況が凝縮されている。
東大安田講堂の封鎖解除に象徴される学生運動の敗北により、大きな挫折感を味わった若者の鬱屈した
エネルギーは、孤立した自己の内面へと深く沈潜し、日本的な私小説的世界と合体して独自の音楽
風景を作り出していった。

彼らの歌の世界は底知れぬ心の闇の深さを感じさせはするものの、小さくて狭い。
言葉への過度の思い入れが音楽としての完成度を損ねることも多く、時代を越えて生き残るための
力強い生命力に欠けていた。

バブル期へと歩を進めていく日本社会の大きなうねりの中で、あだ花のように姿を消していく運命
だったのである。彼らの多くはその後、よりラジカルでパワフルな表現を求め、ロックの世界へと
向かうことになる。


 1.金延幸子/み空
 2.金延幸子/アリス
 3.絵夢/銀色の妖精
 4.中山ラビ/人は少しづつ変る
 5.りりイ/こころが痛い
 6.佐々木 好/夜の風景
 7.森田童子/ぼくたちの失敗
 8.森田童子/蒼き夜は
 9.能登道子/あと3センチ・・・
10.能登道子/少年が走っていくよ
11.能登道子/むらさきの山 
12.桜井久美/暗い夜 
13.佐井好子/夜の精~冬の地下道
14.佐井好子/母さまのうた~鏡地獄




Vol.3.日本的なるものへ


60年代以降、フォーク・歌謡曲・洋楽といったさまざまな音楽のジャンルは日本的な受容と洗練の
過程を経て統合され、日本の音楽風土の中でJ-Popとして花を咲かせた。

その流れは80年代から90年代にかけて全盛期を迎えることになるのだが、このVol.3では、その中でも
「日本回帰」とでも呼ぶような独自の進化を遂げた歌手たちを取り上げることにしたい。

彼女たちの歌は、一見すると既存の「歌謡曲」と同じ土俵の上にあるように見える。だがその本質は、
歌謡曲とはかなりかけ離れたものだ。歌謡曲の目指すものが、プロの作詞家・作曲家による普遍的な
日本的情緒世界の拡大再生産にあるとすれば、彼女たちが目指しているものは、あくまでも個人的な
出来事を自分自身の言葉と音楽で語ることである。

ここでもそのキーワードは「シンガーソングライター」だ。メロディーラインや歌の背景をなしている
心情は確かに歌謡曲に似ているが、そこで歌われている内容は彼女たちの個人的な心情であり、心の
壁に秘かにしまい込まれていた個別の出来事なのである。


 1.藤原秀子/別れ
 2.水越けい子/星ものがたり
 3.坪田直子/黄昏だけなら生きてもいい
 4.豊島たづみ/おもいでは琥珀色
 5.豊島たづみ/とまどいトワイライト
 6.大友裕子/傷心
 7.大友裕子/来夢来人
 8.津和のり子/ほれてふられてブルース
 9.津和のり子/蛾
10.稲葉喜美子/氷雨
11.稲葉喜美子/唄人(うたうたい) 
12.白季千加子/ひとりごと 
13.白季千加子/淋しけりゃ
14.川島康子/外は雨
15.川島康子/あなたのために 
16.川島康子/或る町から




Vol.4.サウンドの多様性を求めて


80年代に入り、多くのミュージシャン達の努力が実を結び黄金期を迎えたJ-Popが、さまざまな
実験的サウンドの追求へと向かったのは半ば必然というものだろう。

この時期の作品は、どの曲も目くるめくようなサウンドの洪水である。松任谷正隆、山下達郎、坂本
龍一といった才能溢れるミュージシャン達が、競い合って松任谷由美、竹内まりや、大貫妙子などの
個性豊かの歌手たちのためにアレンジを手がけた、まさに夢のような時代なのだ。

ボサノバのような新しいリズム、テクノサウンドのような実験的な音作りを取り入れた新鮮で魅力的な
響きを持つ曲が、百花繚乱のごとく咲き乱れたのである。

またこの時代には、初期のJ-Popの歌い手たちが意識的に避けようとした「歌謡曲の世界」との
融合も始まる。80年代以降、J-Popと歌謡曲は互いに影響を与えながら、日本のミュージック
シーンを形成していくのである。

このVol.4では、こうした80年代のJ-Pop全盛期の作品の中で、比較的耳にする機会の少ない、
埋もれた名曲を取り上げてみることにしよう。


 1. Rajie(ラジ)/キャトル
 2.福島邦子/ボサノバ
 3.山口未央子/アラビアン・ラプソディー
 4.相曽晴日/ビルディング・グレイ
 5.小室みつ子/ His Pride, My Pride
 6.倉橋ルイ子/海岸電車
 7.椎名 恵/ LOVE IS ALL
 8.佐藤奈々子/土曜の夜から日曜の朝へ
 9.小林麻美/ TRANSIT
10.川口雅代/ショーウィンドゥー
11.宮原芽映/黄昏メトロ 
12.柿原朱美/ Just Another Man 
13.久野かおり/月の砂漠
14.岡部東子/思い出の瞳
15.美雪/雨あがり
16.城之内ミサ/あの頃




埋もれた花束~My Selection


こうして出来上がったCDアルバム「埋もれた花束」を聴き込むなかで、自分好みの曲だけを集めてみました。
でだしは、津和のり子の「蛾」・・・場末の酒場のおばさんのつぶやきが歌になっています。
ちあきなおみの「紅とんぼ」よりもいいです。

中にはさんだ16曲は、自分が好きな「川島康子」と「白季千加子」をメインに、「埋もれた花束」のなかから
印象に残る曲をちりばめました。
そして白季千加子の軽快な「噂のブギ」で余韻を残しながら終る構成です。
ジャッケットの表ディスク面には「佐井好子」、ジャケットの裏面には「桜井久美」です。

私家版アルバムづくりに5年以上取り組んできましたが、ようやく満足のゆくものが完成しました。
何度聴いても聴きあきない、自分にとって最高の一枚となりました。


 1. 蛾/津和のり子
 2. おてんとさま嫌い/白季千加子
 3. 比叡おろし/小林啓子
 4. 泪橋/茶木みやこ
 5. あの日の私に/川島康子
 6. 黄昏だけなら生きてもいい/坪田直子
 7. 白いページの中に/柴田まゆみ
 8. あなたのこととなると/川島康子
 9. ほれてふられてブルース/津和のり子
10. 外は雨/川島康子
11. 東京風来坊/白季千加子
12. 氷雨/稲葉喜美子
13. 長い坂道/川島康子
14. 男と女のララバイ/白季千加子
15. 花ぬすびと/明日香
16. とまどいトワイライト/豊島たづみ
17. まわり燈籠/高岡美智子
18. 噂のブギ/白季千加子




Music/埋もれた花束